現場監督。建築系はもちろん、土木、電気、設備などのさまざまな業種において必ず必要な担当者で、工事現場を指揮・統率するいわばまとめ役的な存在ですよね。
工程(スケジュール)通りに工事を進行するのはもちろん、安全と品質を担保しながら、工事費用も予算内に収めなければならないなど、現場監督はさまざまな責任を負わなければなりません。
中卒のこれから建設業界で現場監督として働きたい、もしくは今の職場のポジションから叩き上げでのし上がっていくつもりであれば、学歴がどの程度重視されるのか?という部分も気になるところでしょう。
「そもそも現場監督って中卒からできるのか?」
今回はここがもっとも気になってくるところかと思いますので、
さっそく、現場監督に求められる学歴のほか、平均年収、雇用の現状などについてみていきましょう。
現場監督は中卒(高校中退)でもなれるのか?
結論から言っちゃいますが、現場監督には中卒者、あるいは高校中退者でもなることができます。
学歴必須の大手ゼネコンは別として、大体の建設系企業は学歴こそ重視しているものの、中途採用者も受け入れていますし、学歴がない場合も採用されるパターンは多々あります。
そもそも現場監督には明確な資格要件はなく、2次下請け業者の管理者募集では特に「学歴不問」としている企業も多いです。
私のように中卒で現場作業員からスタートし、10年以上の実務経験をとおして1級国家資格を取得して主任技術者→現場監督になった方も多いと思いますし、実際に仲間内や知り合いでもいました。
中卒無学歴者であっても「コミュ力が高くて現場で使える人材」であれば企業側としては欲しいはずなので、現場でどれだけこなせるかによって採用~待遇も変わってきます。
これから新規・中途での就職を考えている人は、余計なことは必要なくて、つまるところ「その職業にかける情熱をどれだけアピールできるか」によって採用確率も変わってくると思います。
業界の社長さんの多くがガテン系でのし上がっていった方が多く、エネルギーのある人材を欲していますから。
ある意味、ハッタリも大事になってきますね。
しかしながら、学歴の有無によって現場監督の職務に就きやすさに違いは生じてきます。
繰り返しますが、現場監督になるためには資格所有などの要件はありません。
一方で工事現場には必ず技術者を配置が義務付けられており、これらは建設業法で主任技術者とよばれ、大規模建設工事の際にはより上位の監理技術者の資格が必要です。
このうち主任技術者は土木工学、建築学、都市工学、電気工学、機械工学といった建設系の指定学科を卒業していれば、大学、短大、高校、専門学校などの学歴に応じて3年から5年の実務経験の積むことによって、要件を満たすことができます。
ただし指定学科を卒業しておらず、いわば中卒者であっても、10年以上の実務経験を積めば主任技術者として現場監督になることは可能ということです。
まさに私がこのパターンにあたります。
現場監督の平均学歴は?
現場監督の平均学歴は年齢によって異なります。
年齢が下がるにつれ大卒者が多くなりますが、年齢が高いと現在でも高卒者が一定の割合で現場監督の職に就いています。
私も含め、周りでよくいた代人さんのステップアップパターンとしては、
中卒→現場作業員→現場監督→外注で管理会社に就職→担当していた現場の元請け会社からヘッドハンティングされる
このパターンが多いですね。
特に建設業界は人手不足のため、中卒者であっても採用ニーズがあります。
ただし、中卒者の場合、建設業法によって義務付けられている主任技術者や監理技術者の資格取得には10年以上の実務経験が求められる点に注意が必要です。
これは先ほどお伝えしたとおりです。
工事現場では多くの人が主任技術者や監理技術者になるために、国家資格を取得していることから、学歴不問であっても無資格では監督の条件にあてはまらない。
国家資格は独学では難易度が高いため、セミナーや塾で学んだ方が有利なのは間違いないですが、私は1級管工事などのセコカン実務に必要な国家資格はすべて独学で取得してきましたので、馬力のある方は独力でどうぞ!
現場監督は高卒・大卒が多い?
出典:国土交通省より
現場監督になるために学歴は問われないことから、必ずしも高卒や大卒である必要はありません。
しかしながら、現場監督となる以前に社員として採用されるための要件としては学歴が問われることがあります。
とはいえ、少子高齢化など、慢性的な人手不足から技術者の確保に苦慮している建設業界ではそんなことも言ってられません。
2021年現在も、建設業未経験者でも積極的に採用している企業は少なくありませんから。
国土交通省の試算では、2023年時点で約21万人程度の人材が不足する見通しだという事です。
出典:国土交通省より
また、国外からの外国人労働者の爆発的な増加を含め、未経験者でも応募できる企業数は全体のおよそ半数に上るといわれています。
最近では「キャリアアップシステム(CCUS)の導入」も加速して現実的になりそうですので、こうした点からも建設業界は専門的な業界ではあるものの、未経験者を積極的に採用し、育成する土壌も醸成されつつあると判断していいかと思います。
現場監督の平均年収は?中卒だといくらもらえるのか?
出典:厚生労働省より
現場監督だけに特化して年収に限定した公的なデータはぶっちゃけ、ありません。
また、学歴による年収の差よりも年齢や所属する企業の違い規模による差が大きいようですので、企業規模が大きいほど年収が高い傾向にあります。
一方、2017年における厚生労働省の「賃金構造基本統計調査」によれば、職種に関わらず最終学歴が高卒者の場合、平均年収は288.1万円となっていました。
また当然ですが、20代からの年収も少なくなっています。
年功序列感が強い建設業なら当然っちゃ当然ですが。
これは大卒よりも145.1万円ほど低く、平均よりも低い数字です。
高卒の平均とは中卒者もさほど大きく変わらないことから、本人の努力に依る部分が大きいといえそうです。
実際に中卒でも大企業に就職した場合と高卒で中小企業に就職した場合とでは、平均年収が逆転することも少なくありません。
また、主任技術者や監理技術者の資格を取得していれば、基本給とは別に資格手当が支給される場合もありますね。
このあたりはあくまで平均的な統計なので、なんとも言えません。
実際に20代現場監督の平均年収についてもおどろきの結果が出ています。
現場監督の雇用の現状はどうなってる?
出典:総務省より
すでに触れているように、建設業界は人手不足。これは間違いなく確定です。
総務省による「労働力調査」では、就業者数推移が全産業は若干右肩下がりか横ばいに近いのに対し、建設業ではゆるく肩下がりの傾向が続いています。
一方マーケットとしては、高度成長期のインフラやさまざまな施設が耐用年数を超過し、老朽化が進んでいることから、補修や建て替えといった工事需要も見込まれます。
さらに、日本社会全体の急速な高齢化に伴い、建設業も高齢化が進んでいることから、若手の人材確保はむしろ急務といえる状況です。
このように多角的にみても、現場監督については将来にわたって高い需要が見込まれるものと考えていいかと思います。
中卒で現場監督を目指すべきか?
中卒者であっても建設業界の採用ニーズがあるとはいえ、建設会社の採用条件として高卒以上が求められることが多いのは事実です。
なので本来であれば建設系の大学、高校あるいは専門学校の指定学科を卒業していることが望ましいですね。
しかしながら、現場監督になるためには一定の現場経験が必須となることから、新卒の求人を行っている企業は稀で、これは学歴にかかわらないといえます。
また、工事現場でもっとも重要なのは他の職場同様、人間同士の信頼関係です。
コミュ力ってやつですね。
むしろ実際の現場監督の業務で必要となるのは学歴以外のコミュニケーション力やリーダーシップ、臨機応変な思考など人間関係を円滑にする能力といえます。
中卒の現場監督であれば会社に就職後、作業員からたたき上げで上り詰めるか、学歴を求められない派遣社員・もしくはアルバイトとして入社し、現場で管理業務の経験を積んでから正社員として採用されるといったかたちであれば、現場監督になれるチャンスは少なくないでしょう。
ただしアルバイトとして働いている場合、主任技術者の要件を満たすための実務経験の年数には算入されない点には注意しておかなければなりません。
今回のまとめ
現場監督になるためには、学歴だけでなく経営者や上司から現場監督にふさわしいと認められる経験と知識、そして工事現場をまとめ上げる統率力が必要です。
また、主任技術者や監理技術者の資格を取得することで社内外から評価され、現場監督への近道となります。
中卒であっても、なんらかの形で建設業界でスタートが切れれば、実務経験を積み資格取得を目指すことで、現場監督への道が開けるといえるでしょう。
そこは自己プレゼン力と政治力がうまい人ほど、高見に上り詰めることができると思いますので、そこは頑張ってください!
また、私のように中卒で現場監督をしてきた人間がある日突然、会社を脱サラしてネット業界の仕事に鞍替え。
幸せな人生を送っているパターンもありますので、こちらも興味をもってくれたらぜひ他の記事やTwitterなどでも絡んでくださいね^^
それでは、記事を最後まで読んでくださり、本当にありがとうございました。